覚えておいででしょうか。昨年10月末に公開したオガツカヅオ先生の『よふさぎさま』のコラムで、『ホラーマンガがホラー雑誌に縛られずに一般誌で好き放題暴れるにはどうするか』ということに関して、「一般誌に殴りこんで、ライトなマンガ読みをホラーマンガの虜にしてきてくれと思う作家さんが個人的に3人いる。オガツ先生以外の2人も近日中に登場予定!」と言っていたことを。

ありがとうございます。黄島点心『盲脳』です。
公開前からずっと言ってましたが、どうですかこの圧倒的奇想。「腸と脳って似てるよね!」ってところからここまでの話が出来る。いったい何食ったらこんなことになるんだと。俺はいい歳して回転寿司のシーチキンの軍艦巻ばっかり食ってるから、こんなこと一生かかっても思いつかな 話を戻しますが、「恐怖と笑いは紙一重」的なことは昔からよく言われていますし、自分もそれを否定するものではないです。が、理解を超えたものを何でもかんでも「バカホラー」と一括りにすることについてはちょっとアレだなと。バカホラーと呼ばれる作品に素晴らしいものはたくさんありますが、黄島点心のマンガを一言であらわせる日本語、まだないです。
変なたとえになってたら申し訳ないですが、ハロウィンでムチャクチャなホラーを量産しまくっていた時の伊藤潤二が好きな人、作風が似てるわけではないですが今一番あの頃を思い出させてくれる作家が黄島点心です。『首吊り気球』がヤバいのって、「人が死ぬから」「グロいから」じゃないじゃないですか。
怖ければいい、グロければいい、血と内臓が出ればいい、ホラーマンガファンが見たいのはそれだけじゃないし、「本当にあった怖い話」系と「どう考えてもあるわけない話」をホラーマンガとして一緒にするのも無理があります。僕が読みたいの、盲腸と脳が合体して仏教に目覚める話とかですからね。絶対に本当にない。「夜が犯しに走ってくる話」とか「髪が薄い力士が地下河童闘技場でコスプレ相撲する話」とか「ジャッカルがジャッカルじゃない話」とかも絶対にないですね。なにがいいたいんでしょうね僕は。今回のコラムはいつにも増して日本語が汚いです。

黄島先生は今年で漫画家生活10周年。ご本人もおっしゃる通り、本当にこんなホラーばっかり500本描いてもらいたいなと思いますので、皆さんまずは黄島先生がこのリイドカフェで連載していらっしゃる「黄色い悪夢」シリーズを応援しましょう。これをきっかけに、何とかホラーファン以外のマンガ好きに黃島作品世界をぶつけて、グロではなく奇想の面でビビらせたいなと。リイド社さん、黄島先生のホラー全部集めて全集作りましょう!(言うのはタダですが信頼を失います)
あと、「顔も性格もイマイチだけど体がいいからなんとなく別れられない」くらいの女を描くのが日本一うまいので、半端ブスと汚い部屋で生活感のあるセックスをするエロマンガを描いてほしい。(信頼を失います)
以上です。
最後になりますが、黄島先生にエクストリームマンガ学園で『盲脳』を紹介させていただくこのタイミングで何か読者に言いたいことは?と聞いてみたところ、
「『盲脳』の発音は、『高校』のイントネーションじゃなく、『盲腸』のイントネーションでお願いしたいです」
という一言だけでした。は~い。
次回、ついにあの幻の作家の正体を、我々エクストリームマンガ学園スタッフ(俺)は突き止めた! 乞うご期待!

追伸
「脳と腸って似てるよね!」って発想から始まるマンガは世界にこれだけですが、「テニスとペニスって似てるよね!」って発想から始まるエロ劇画、僕はたくさん知っています。

《初出》
コミック特盛 新耳袋アトモス 2016年2月号

黄島点心公式ホームページ  http://kijimatenshin.com/
黄島点心Twitter https://twitter.com/kijimanekorenji
連続怪奇シリーズ 黄色い悪夢
(黄島先生、リイドカフェでも連載中。全作無料公開中)
恐ろし屋 作品ページ https://osoroshiya.com/creator/kijima-tenshin/
(過去作品での個人的オススメは『口寄せ蓮治捕物帖』)

更新日

劇画狼

マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。得意ジャンルはエロ劇画とコンビニコミックス。好きなマンガは将太の寿司。