美少女vsブス。 少女向けのホラーで一番のコンプレックスと殺意が生まれるのは美醜なので、こういったテーマの作品はいつの時代も多くありますし、90年代当時も同様でしたが、そんな中でも個人的に飛びぬけて好きなのがこの児嶋都先生の『怪人バラバラ少女』です。
常日頃「人にやさしく、ブスにきびしく」をモットーに活動している劇画狼さんですが、この「怪人バラバラ少女」のオチの救いのなさ、どうですか。
美人は何があっても美人。ブスの嫉妬と復讐が報われることはなく、逆に、因果応報で自分が死んだりすることもなく、ただ「ブスが身の程を知って終わる」話。精神的成長もない、「また更に性格が歪んだ」という話です。児嶋先生、容赦がない。
容赦がないというか、この作品が収録されている『怪奇の館』、とにかく出てくるブスのバリエーションが異常に豊かで、そのどれもが「ブスの読者に優しくない話」(ブスが整形に失敗する話とか、ブスが整形に成功するけど死ぬ話とか)。
こりゃあ何としてでも時代を越えて読み継がれなければならない。90年代ホラーが好きだった女の子が母になって、今からサブカルっ子になる娘と一緒に読める未来を作らなければならない。絶版ホラーの復刻を通して、家族の絆を守りたい。未収録作品もまだまだある! 俺がやらねば誰がやる! などと、コラム毎に一言くらいは使命感あるっぽいこと言っておこうかと思ってやってますけど、なんかこうフラフラ考えていたら、なんかもう電子書籍化が進んでるんですって! 最高!
近日公開とのことなので、また別途告知します!
ちなみにいつも好きな作家さんの応援をやるだけだけやって、リンクを貼った作品のどれもリイド社の利益に結びつかない慈善事業をしていることで有名なエクストリームマンガ学園ですが、この『怪奇の館』と『サイコ工場』は直接売上的にリイド社のアレになりますし、皆さんが買えば買うほどリイド社内での僕の評価が上がる感じな気もします(多分)。 エクストリームマンガ学園が直接的に利益を生む企画だとリイド社に判断してもらえたら、もしかしたらリイド社上層部が「劇画狼くん、このお金で探偵でも雇ってゴブリン森口とか六波羅芳一を探しなさい」とか言ってお小遣いをくれるかもしれません。
多分ないと思いますが、みんなに夢を見せたいぜ。劇画狼が紹介する、ブスが身の程を知って終わる話でした。ルンルン♪
《初出》
『怪奇の館』 平成9年 リイド社
恐怖の館DX 1996年10月号掲載
《児嶋都先生情報》
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以下の画廊に展示あり
http://www.span-art.co.jp/index.html
http://jiromiuragallery.com/
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https://osoroshiya.com/manga/gankyu-kitan/
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