2016年秋にこの企画を初めて、昨年『完全版サイコ工場』の出版が決まった時点で、自分は次に何をするべきなのか完全に決まっていた。
エクストリームマンガ学園が始まってすぐに、みんなの予想するおおかみ書房セレクション的作品とは違ったタイプである「よふさぎさま」を持ってきたのは、もちろんいつかはこうするつもりで……ではあったけれど、とにかく強制的に「オガツ先生に『今』を合わせる。
なので『サイコ工場』が一段落したあとに、すぐ次の本の企画をリイド社に提案。
失礼ながら、オガツ先生は、その作品の圧倒的強度をもってしても今まで「見つけられなかった作家」だと思う。「よふさぎさま」「こくりまくり」の2本がかなりの反響で迎えられたことで、「なぜここまで単行本にならずに埋もれていたんだ」と思った方も多いはずだ。
年末に諸々の権利確認も終わり、オガツカヅオ短篇集を2018年に出す、と告知。外部編集としてリイド社とオガツ先生と、3人で作業を進める。
自分が担当するのは、『サイコ工場』の時と同じく、台割表の制作と巻末描き下ろしやカバーアートのイメージなど、この本を今出すことにどんな付加価値をつけるかの「パッケージング」の部分。
元々オガツ先生の単行本未収録作はほとんど自力で入手していたので、それを元に収録作選定と収録順の叩き台を作り、オガツ先生と打ち合わせを重ねる。オガツ先生からは、表題作になったデビュー直後の作品「魔法はつづく」を見せてもらい、「面白いけど絵柄が今とかなり違うので、丸ごと今の絵で描き直しても面白い」などの提案をいただいたので、オガツ先生さえよければと、もちろん了承。今回紹介した「しあわせになりませう」も、諸々の理由で単行本収録用に大幅に修正されたので是非見比べてほしい。そうやって、バラバラの時期・バラバラの掲載雑誌に載った作品が、いつの間にか頭の中で意味を持った場所に収まり始める。そこまでくるとあとは簡単で、「巻末のシークレット描き下ろしはあのキャラのアレにしましょう」「そうなると、表紙とタイトルは自然にこうなりますよね」とか、もう勝手にいい本になっていく。何度も言っているが、オガツ先生の読み切りはどれも面白い。「単行本にならない水準の作品の中で、いくつかすごいものがあるから自分が復刻した」わけではなく、すべてがこのレベルに面白い。特に、『魔法はつづく』の冒頭を飾る2作「はじめましてロビンソン」と「かえるのうた」は、エクストリームマンガ学園でオガツ先生を紹介しようと思った際に「よふさぎさま」とこの2作の中でどれにするか、最後まで迷った作品だ。期待し過ぎてくれても軽くハードルを越えていくのでお楽しみに。

そんなこんなで自分がここ10年やりたくてたまらなくて、ここ1年動きまくった単行本、おおかみ書房第8弾『魔法はつづく』が来週7/18に発売になりますのでぜひよろしくお願いします。自分の活動は、常に世界最小規模の魂の救済だと思っ…なんか初めていいこと言って、この連載も最終回っぽくないですか? もうちょとだけ続(以下略)


《初出》 シンカンvol.3(朝日新聞出版) 2010年11月

《オガツ先生情報》
Twitter https://twitter.com/ogatukaduo
短篇集『魔法はつづく』7/18発売 https://www.leed.co.jp/9784845851959
試し読み
「よふさぎさま」 http://leedcafe.com/webcomic/exmanga03/
「こくりまくり」 http://leedcafe.com/webcomic/exmanga017/

『ことなかれ』nemuki+で連載中。
試し読み http://sonorama.asahi.com/series/kotonakare.html

オガツ先生、大阪で原画展開催!
8/24~9/9、大阪・日本橋にあるおおかみ書房直営画廊・モモモグラにて、オガツカヅオ・黄島点心・呪みちる3人展開催。オガツ先生は最終9/8~9/9に在廊・サイン会予定。
その他詳細はモモモグラHPか、モモモグラツイッター劇画狼ツイッターで。


先日発売したおおかみ書房第7弾、崇山祟『恐怖の口が目女』もこれから知られるべき作品なので応援お願いします!
https://www.leed.co.jp/9784845851935

更新日

: 劇画狼

マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人&特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。得意ジャンルはエロ劇画とコンビニコミックス。好きなマンガは将太の寿司。

 

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